公開 2026.08.18 ・ 8分で読める
東大おうち塾コラム
海外にいた期間の内申はどうなるか。東京・神奈川・千葉の要綱で確認した
海外にいた期間は日本の中学校の評定が存在しません。公立高校の一般入試でこれがどう扱われるかを、東京都・神奈川県・千葉県の実施要綱と公式資料の原文で確認しました。扱いは県ごとに違い、神奈川県は有利不利はないと明言しています。
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程 / 公開 2026.08.18 / 8分で読める
目次
海外にお住まいのご家庭から、高校受験について最も多く聞かれるのがこれです。「日本にいなかった期間の内申はどうなりますか」。
日本の中学校に在籍していない期間は、評定そのものが存在しません。公立高校の一般入試は調査書の評定を点数化して使うため、ここが空白になると不利になるのではないか、という不安です。
結論を先に3点書きます。
評定が書けない教科は、調査書の欄が空欄のまま提出できます。書けないことを理由に出願できなくなるわけではありません。
空欄の扱いは都道府県ごとに違います。学力検査の得点から算出する県、他の資料と比較して総合的に判定する県があります。
神奈川県は公式資料で「有利不利はありません」と明記しています。
ただし共通して、現地校の成績資料はご家庭で用意します。これは海外にいるうちにしか集められないので、そこだけは先に動いてください。
この記事は2026年8月18日に各教育委員会の要綱・公式資料を取得して原文を確認したものです。年度ごとに条文は変わります。受験する年度の資料を必ずご自身で確認してください。
第01章3都県で扱いがどう違うか
同じ「評定が無い」でも、選考でどう処理するかは県によって違います。原文の言い方をそのまま並べます。
自治体 | 評定が無い場合の扱い | 出典の言い回し |
|---|---|---|
東京都 | 各都立高校が、学力検査の得点など参考にできる資料を活用して調査書点を算出する | 「評定を行うことができずに評定が斜線となっている教科のある受検者については、学力検査の得点等の参考にできる資料を活用して当該都立高校が調査書点を求める」 |
千葉県 | 他の選抜資料と併せ、他の受検者の資料と比較検討して総合的に判定する | 「調査書の教科の学習の記録に評定の記載のない教科がある場合等については、他の選抜の資料と併せて、他の者の資料と比較検討した上で、総合的に判定する」 |
神奈川県 | 資料の整わない者として、参考にできる資料を活用して適正に選考する | 「資料の整わない者として、参考にできる資料を活用し、適正に選考することとしておりますので有利不利はありません」 |
東京都は算出方法まで踏み込んで書いています。千葉県は判定の枠組みを示す書き方です。神奈川県は保護者向けの冊子なので、有利不利という言葉で直接答えています。
出典: 東京都教育委員会 令和8年度 都立高校 入学者選抜の実施要綱 / 千葉県 令和8年度 公立高等学校 入学者選抜の実施要項 / 神奈川県 県外・海外・私立等から受検するみなさんへ(いずれも2026年8月18日に確認)
第02章共通してやるべきこと。現地校の成績資料を集める
東京都の要綱には、調査書の作成についてこう書かれています。
令和7年4月1日以降帰国し、現地校から編入学した者については調査書の所定欄のうち記入できる事項についてのみ記入する。各教科の学習の記録欄に一部でも記入できない場合、現地校の成績資料の写しを添付する。
添付できない場合は、その旨を明らかにした理由書を出す形になります。つまり手続きとしては通りますが、成績資料があるほうが選考に使える材料が増えます。
帰国してから現地校に連絡して取り寄せるのは、学校によっては時間がかかり、閉校や制度変更で入手できないこともあります。在籍しているうちに集めておいてください。
具体的には次の3つを、原本またはPDFで保管します。
学期ごとの成績表(できれば在籍全期間分)
出席の記録
在籍証明書
英語以外の言語の資料は、日本語訳を求められることがあります。翻訳が必要かどうかは志望する自治体と学校に確認してください。
第03章日本人学校にいた場合は扱いが変わる
現地校ではなく日本人学校に在籍していた場合、話は単純になります。日本人学校からは調査書が発行されるためです。
神奈川県の資料では、観点別学習状況の評価(A・B・C の3段階)と5段階の評定という形式であれば、県内の公立中学校に在籍している人と同じように扱う、と説明されています。第3学年については第2学期までの評価・評定を使う点も明記されています。
つまり日本人学校を卒業する場合、内申が無いという問題そのものが起きません。現地校に通っている場合とは、準備することが変わります。
第04章内申が薄いなら、学力検査で取る設計に寄せる
評定が一部しか無い状態は、選考で不利にならないよう配慮されます。ただし、日本にいた生徒と同じだけ調査書で得点を積めるわけでもありません。現実的には学力検査の比重を上げる設計になります。
東京都立高校の全日制では、学力検査の得点と調査書点の比率が原則として7対3です。学力検査で取れる部分が7割あるので、ここを固めるほうが結果に直結します。
やること | 理由 |
|---|---|
主要3科(国語・数学・英語)を先に戻す | 学力検査の中心であり、比重が大きい |
理科と社会の未習範囲を洗い出す | 現地校で日本の歴史や地理を扱わないため、範囲がまるごと空きやすい |
過去問で出題形式に慣れる | 学力があっても形式に不慣れだと取りこぼす |
帰国後の定期テストで評定を積む | 帰国後に在籍した期間の評定は調査書に載る |
帰国後に日本の中学校へ編入した期間については、通常どおり評定が付きます。編入時期が早いほど、調査書に載る評定の量は増えます。
第05章東大おうち塾で対応できる範囲と、できない範囲
東大おうち塾が対応するのは、帰国後の一般入試に向けた学習指導と、日本のカリキュラムとの差を埋める設計です。書類の作成代行や、教育委員会への確認の代行は行っていません。
対応できること | 対応できないこと |
|---|---|
主要3科と理科・社会の未習範囲を埋める指導 | 調査書や成績資料の作成、翻訳の代行 |
学力検査から逆算した学習計画の設計 | 各自治体・各校への出願条件の照会の代行 |
時差に合わせたオンラインでの1対1指導 | 合否の判定や、合格の保証 |
要綱の読み方が分からない箇所は、無料相談の場で一緒に読むことはできます。ただし最終的な確認はご家庭と学校や教育委員会のあいだで行っていただく必要があります。
第06章よくある質問
海外にいた期間の内申がありません。高校受験で不利になりますか。
評定が書けない教科は調査書の欄が空欄のまま提出でき、選考では配慮されます。神奈川県は公式資料で「資料の整わない者として、参考にできる資料を活用し、適正に選考することとしておりますので有利不利はありません」と明記しています。東京都は学力検査の得点など参考にできる資料を活用して各都立高校が調査書点を算出し、千葉県は他の資料と比較検討して総合的に判定します。扱いは自治体ごとに違うため、志望する自治体の要綱を確認してください。
現地校の成績資料はいつまでに用意すればいいですか。
在籍しているうちに集めてください。東京都の要綱では、記入できない教科がある場合に現地校の成績資料の写しを添付すると定められています。帰国後に取り寄せると時間がかかり、学校によっては入手できないこともあります。学期ごとの成績表、出席の記録、在籍証明書の3つを原本またはPDFで保管しておくと確実です。
日本人学校に通っている場合も同じですか。
違います。日本人学校からは調査書が発行されるため、内申が無いという問題は起きません。神奈川県の資料では、3段階の観点別学習状況の評価と5段階の評定という形式であれば、県内の公立中学校に在籍している人と同じように扱うと説明されています。
内申が無いぶん、学力検査で何点多く取ればいいですか。
その換算は公表されていません。東京都は各都立高校が参考資料を活用して調査書点を算出する仕組みで、千葉県と神奈川県は総合的な判定です。何点で埋まるという計算は成り立たないため、学力検査で取れる範囲を最大化する方針で準備してください。東京都の全日制では学力検査と調査書点の比率が原則7対3です。
帰国後に日本の中学校へ編入すれば内申は付きますか。
付きます。編入後に在籍した期間の評定は調査書に記載されます。編入が早いほど記載される評定の量は増えます。ただし編入の受け入れ可否や時期は学校によって異なるため、編入先の候補には早めに問い合わせてください。
この記事の内容は今年も同じですか。
要綱は年度ごとに改定されます。この記事は2026年8月18日時点の資料(東京都と千葉県は令和8年度、神奈川県は令和9年度入学者用)を確認して書いています。受験する年度の最新の要綱を必ずご自身で確認してください。
第07章先に動くのは資料集め
内申が無いこと自体は、制度として想定されています。空欄のまま出願でき、各自治体が方法を定めて選考します。
一方で、現地校の成績資料だけは海外にいるうちにしか集められません。ここを先に済ませておけば、帰国後は学習そのものに時間を使えます。
帰国後の一般入試で何をいつやるかは帰国後に日本の一般入試を受けるに段階ごとにまとめています。海外向けの指導内容は海外子女・帰国子女向けのページをご覧ください。
東大おうち塾では、海外にお住まいのご家庭向けに初回60分の無料学習相談を行っています。申し込みは海外からの無料学習相談フォームからどうぞ。
筆者
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程
公開 2026.08.18
麻布高校卒業、東京大学 博士課程在学。公認会計士試験合格。海外在住のご家庭からの学習相談を受けるなかで、内申の扱いを不安に思う声が多かったため、各県の要綱を実際に読んでまとめました。