STUDY METHODS

研究で確かめられていることと、
現場で決めていること

勉強法の話は、根拠のあるものと経験則が混ざったまま語られがちです。このページでは、査読を通った研究で確かめられている範囲と、東大おうち塾が現場で決めている目安を分けて示します。出典はすべてDOI付きで挙げています。

最終更新:2026-08-18 / 内容確認:東大おうち塾運営チーム

結論:読んだ回数ではなく、思い出した回数で決まる

読み直しを重ねるより、テスト形式で思い出したほうが後に残ります。復習は詰めるより間隔をあけたほうが残り、最適な間隔は知識を保ちたい期間に応じて伸びます。音読は覚えたい箇所を絞って使うと効きますが、全部を声に出すと効果は小さくなり、読解問題には効きません。

研究で確かめられていること

言えること確からしさ中身出典
読み直しより、思い出す練習のほうが後に残る固い読み直した群よりテスト形式で思い出した群のほうが、時間が経ったあとの保持で上回る。メタ分析でも同じ結論。Roediger & Karpicke (2006) / Rowland (2014)
詰めて復習するより、間隔をあけたほうが残る固い最適な間隔は「その知識をいつまで保ちたいか」に応じて伸びる。1週間後の試験なら短く、半年後なら長く。Cepeda ほか (2006) / Cepeda ほか (2008)
声に出して読むと、黙読より記憶に残る条件つき一部だけ声に出したときに大きく出る。全部を音読すると効果はかなり小さくなる。読解問題には効かない。MacLeod ほか (2010) / Roberts ほか (2024)
一度に保持できる量には限りがある固い意味のあるまとまり(チャンク)にすると、同じ数でも扱える情報量が増える。図や途中式を書くのは、この作業台を空けるため。Miller (1956) / Baddeley (2012)
順に見ていくと、中央がいちばん落ちる固い(ただし条件に注意)最初と最後がよく残る(初頭効果と新近効果)。原実験は単語リストが対象で、参考書の復習にそのまま当てはまるとは言えない。Glanzer & Cunitz (1966)
読み直しと線引きは、有効性が低い方に分類されている固い学習法の有効性をまとめた大規模な総説で、練習テストと分散学習が高い方、読み直しと蛍光ペンが低い方に分類された。Dunlosky ほか (2013)

引用した文献は、誌名・巻号・DOIをCrossrefで確認した査読誌の論文です。効果の大きさには個人差があり、ここで挙げた研究の多くは成人を対象にしています。学年によって当てはまり方が変わる可能性があります。

研究が決めてくれないこと

研究が示すのは原則まで

  • 間隔をあけたほうが残る、とは言える
  • 何日後に何回やるか、は決めてくれない
  • 一部を声に出すと残る、とは言える
  • どこを選ぶか、は決めてくれない

だから分けて書いています

  • 研究で言えることには出典とDOIを付ける
  • 現場の目安には、研究由来でない旨を明記する
  • 条件で結果が変わるものは、変わることを書く
  • 原実験と状況が違う場合はその違いを書く

個別の記事

復習はいつやるか

試験までの期間から間隔を逆算する。1,350人以上を対象にした研究の比率と、研究が答えていない部分。

音読は意味がないのか

声に出すと記憶は上がるが、全部を音読すると効果は小さくなる。読解問題には効かない。研究9本で確認。

よくある質問

勉強法で、まず何を変えるべきですか。

読む回数を増やすのをやめて、思い出す回数を増やすことです。読み直した群よりテスト形式で思い出した群のほうが後に残ることは、複数の研究とメタ分析で確認されています(Roediger & Karpicke 2006、Rowland 2014)。学習法の有効性をまとめた総説でも、読み直しは有効性が低い方、練習テストは高い方に分類されています(Dunlosky ほか 2013)。

復習はいつやればいいですか。

間隔をあけたほうが保持がよくなります。さらに最適な間隔は「その知識をいつまで保ちたいか」に応じて伸びます。1週間後の試験なら短い間隔、半年後なら長い間隔のほうが残ります(Cepeda ほか 2006、2008)。全科目共通の正解となる日数はありません。

音読は効きますか。

条件によります。声に出すと黙読より記憶に残りますが、全部を音読すると効果はかなり小さくなり、一部だけを声に出したときに大きく出ます。また上がるのは記憶で、読解問題の正答率は上がりません(Roberts ほか 2024)。覚えたい箇所を選んで声に出す使い方が向いています。

ノートまとめや蛍光ペンはどうですか。

学習法の有効性をまとめた総説では、線を引く・蛍光ペンで塗るは有効性が低い方に分類されています(Dunlosky ほか 2013)。東大おうち塾でもノートまとめ中心の勉強は勧めていません。同じ時間を思い出す練習に回したほうが取り分が大きくなります。

書き写しは必要ですか。

当塾では、書き写しは単元に入った最初と、漢字が分からないときだけに限っています。写経のように書き写す時間は思い出す練習になっていないためです。ただし数学の図と途中式は書いてください。これは書き写しではなく、頭の中だけで処理しないための作業です。

記事に書かれている回数や日数は研究から出た数字ですか。

いいえ。研究が示しているのは原則までで、具体的な回数や日数は決めてくれません。各記事では、研究で言えることと、東大おうち塾が現場で使っている目安を分けて書いています。目安の側には研究由来ではない旨を明記しています。