公開 2026.08.18 ・ 8分で読める
東大おうち塾コラム
復習はいつやるか。試験日から間隔を逆算する
復習の間隔に全科目共通の正解はありません。ただし1,350人以上を対象にした研究から、試験までの期間に応じて最適な間隔が変わることが分かっています。試験日から逆算する考え方と、研究が答えていない部分を分けて整理しました。
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程 / 公開 2026.08.18 / 8分で読める
「復習は何日後にやればいいですか」という質問には、全科目共通の答えがありません。ただし、答えの決め方なら研究から取り出せます。
先に3点書きます。
詰めて復習するより、間隔をあけたほうが後に残ります。
最適な間隔は、試験までの期間で変わります。試験が遠いほど間隔は長く取ります。
試験までの期間に対する割合で見ると、試験が遠いほどその割合は小さくなります。1週間後の試験なら期間の2〜4割、1年後の試験なら0.5〜1割です。
つまり復習の間隔は、カレンダーの日数ではなく、試験日までの距離から決めることになります。
第01章間隔をあけたほうが残る
同じ回数を勉強するなら、続けてやるより間隔をあけたほうが後に残ります。これは分散学習と呼ばれ、多数の実験をまとめたメタ分析でも確認されています。
直感には反します。詰めてやったほうが、その場では「できるようになった感じ」が強く出るためです。ただしその感覚は数日後には残っていません。
出典: Cepeda ほか (2006) Psychological Bulletin 132(3) 354-380(2026年8月18日にDOIを確認)
第02章最適な間隔は、試験日までの距離で決まる
2008年の研究では、この点が1,350人以上を対象に検証されました。事実を教え、最大3.5か月の間隔をあけて復習させ、そこからさらに最大1年後に最終テストを行ったものです。
分かったことは大きく二つあります。まず、間隔を広げていくと成績は上がり、ある点を越えると今度は下がります。次に、その頂点の位置が試験までの期間によって動きます。試験が遠いほど、最適な間隔は長くなります。
ただし割合で見ると逆向きに動きます。試験までの期間に対する最適な間隔の比率は、1週間後の試験で約20〜40%、1年後の試験で約5〜10%まで下がりました。
この比率を使うと、試験日から復習日を逆算できます。下の表は上記の比率をそのまま当てはめた計算です。
試験までの期間 | 研究が示した比率 | 逆算した間隔の目安 |
|---|---|---|
1週間後 | 約20〜40% | 1〜3日後に1回 |
1か月後 | (1週間と1年の間) | 数日〜1週間後に1回 |
半年後 | (同上) | 2〜3週間後に1回 |
1年後 | 約5〜10% | 3〜5週間後に1回 |
研究の著者は、この関係を踏まえると多くの教育の現場のやり方は効率が悪い、と述べています。試験の直前に詰め込む形は、直後のテストには効いても、その先には残りにくいためです。
出典: Cepeda ほか (2008) Psychological Science 19(11) 1095-1102(2026年8月18日にDOIと要旨を確認)
第03章この研究が答えていないこと
引用した実験は「復習1回」の設計です。学習してから1回だけ復習し、そのあと最終テストを受ける形でした。複数回の復習スケジュール全体を検証したものではありません。
したがって「1日後、3日後、1週間後」のような複数回のスケジュールが最適かどうかは、この研究からは判断できません。示されたのは、復習を1回入れるならどこに置くのが良いか、という関係です。
また、材料は事実の暗記でした。数学の解法のように手を動かして身につけるものに、同じ比率がそのまま当てはまるとは言えません。
また、この比率は最終テストの成績を最大にする値であって、勉強のしやすさや続けやすさは考慮されていません。間隔を空けすぎると、思い出せない状態からのやり直しになり、負担が上がります。
第04章当塾が実際に使っている目安
この章の数値は研究から直接出たものではありません。上の知見を、実際の予定に落とすための運用です。
研究から直接示せるのは基本的な考え方までです。科目ごとの具体的な間隔は、指導現場で調整しています。
対象 | 間隔の目安 | そうしている理由 |
|---|---|---|
苦手なもの | 同じ日に2回 | 間隔をあける前に、一度は思い出せる状態にしておくため |
暗記科目 | 1日後、3日後、1週間後 | 事実の記憶なので、上の研究の考え方に比較的近い |
計算科目 | 午前と午後、翌日、3日後 | 手を動かして身につけるものは、最初を詰めたほうが定着しやすい |
試験が遠い単元 | 間隔を長めに取る | 試験までの距離が長いほど最適な間隔も長くなるため |
計算科目で最初の間隔を短くするのは、知識の暗記よりも技能の習得に近いためです。言葉で説明できることと、手が動くことは一致しません。
第05章間隔より先に効くこと
間隔の調整に時間を使う前に、復習の中身を確かめてください。読み直すだけの復習は、間隔をどう工夫しても伸びが小さくなります。
読み直した群よりテスト形式で思い出した群のほうが、時間が経ったあとの保持で上回ります。学習法の有効性をまとめた総説でも、練習テストと分散学習は有効性が高い方に、読み直しと線引きは低い方に分類されています。
教科書を閉じて、何が書いてあったかを言う
一問一答や問題集で、手がかりを見て思い出す
白紙に書き出して、手がかりなしで思い出す
出典: Roediger & Karpicke (2006) Psychological Science / Rowland (2014) Psychological Bulletin / Dunlosky ほか (2013) Psychological Science in the Public Interest
第06章よくある質問
復習は何日後にやればいいですか。
試験までの期間で変わります。1,350人以上を対象にした研究では、最適な間隔は試験までの期間に対して、1週間後の試験で約20〜40%、1年後の試験で約5〜10%でした(Cepeda ほか 2008)。1週間後の試験なら1〜3日後、1年後に使う知識なら3〜5週間後が目安になります。ただしこの実験は復習1回の設計で、複数回のスケジュール全体を検証したものではありません。
詰めて勉強するのは意味がないですか。
直後のテストには効きますが、その先には残りにくくなります。同じ回数なら間隔をあけたほうが後に残ることは、多数の実験をまとめたメタ分析で確認されています(Cepeda ほか 2006)。詰めてやると「できるようになった感じ」が強く出ますが、その感覚は数日後には残っていません。
エビングハウスの忘却曲線に合わせればいいのでは。
そのまま当てはめないほうがよいです。あの実験は1885年にエビングハウス自身を被験者として行われ、材料は意味を持たない三文字の綴りでした。縦軸も覚えている割合ではなく、覚え直したときにどれだけ時間を節約できたかという節約率です。詳しくは記事「読んだのに覚えられないのはなぜか」に書いています。
暗記科目と計算科目で間隔を変えるべきですか。
当塾では変えています。暗記科目は1日後、3日後、1週間後と広げ、計算科目は午前と午後、翌日、3日後と最初を詰めます。ただしこれは研究から直接出た数値ではなく、現場の運用上の目安です。計算は手を動かして身につけるもので、最初に集中して練習したほうが定着しやすいと考えているためです。
間隔を空けすぎて全部忘れてしまいました。
思い出せない状態からのやり直しは負担が大きいので、間隔を詰め直してください。引用した研究が示しているのは最終テストの成績を最大にする点であって、続けやすさは考慮されていません。実際の計画では、続けられる範囲に収めることが優先です。
復習の中身は何をすればいいですか。
読み直しではなく、思い出す形にしてください。教科書を閉じて何が書いてあったかを言う、一問一答で手がかりを見て思い出す、白紙に書き出す、の順に負荷を上げます。読み直した群よりテスト形式で思い出した群のほうが後に残ることは、複数の研究とメタ分析で確認されています(Roediger & Karpicke 2006、Rowland 2014)。
第07章日数ではなく、試験日から決める
復習の間隔で迷ったら、カレンダーを見るのではなく試験日を見てください。試験が近いなら間隔を詰め、遠いなら空ける。割合の目安は、近い試験で期間の2〜4割、遠い試験で0.5〜1割です。
そのうえで、復習の中身が読み直しになっていないかを確かめてください。間隔をどれだけ工夫しても、思い出す作業が入っていなければ伸びは小さくなります。
研究で確かめられている範囲の全体像は勉強法のまとめページに一覧にしました。思い出す練習の進め方は読んだのに覚えられないのはなぜかに3段階で書いています。
東大おうち塾では初回60分の体験授業を無料で行っています。いまの復習の回し方を見せていただければ、どこを直すかをその場でお伝えします。
筆者
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程
公開 2026.08.18
麻布高校卒業、東京大学 博士課程在学。公認会計士試験合格。認知心理学に基づいて自分の勉強のやり方を組み立て直した経験から、東大おうち塾を立ち上げました。