公開 2026.08.23 ・ 9分で読める
東大おうち塾コラム
文系数学で一番差がつく理由|東大文系の開示得点で見る科目別の点差
東大文系の二次試験で数学は80点。英語や国語より40点低い配点です。それでも2026年度合格者の開示得点を見ると、受験生の間で最も点差がついたのは数学でした。配点あたりで比べると地歴の2.7倍です。数字とグラフで確かめます。
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程 / 公開 2026.08.23 / 9分で読める
目次
東大文系の二次試験は、英語・国語・地歴が各120点、数学だけが80点です。配点が40点低いので、「数学は多少苦手でも他で取り返せる」と言われます。
ですが2026年度合格者の開示得点を見ると、合格者の間で最も得点差が大きかった科目は数学でした。
先に結論を3つ書きます。
数学の標準偏差は13.2点。満点が40点多い英語の12.1点より大きい。
配点あたりの標準偏差で比べると、数学16.5%に対して地歴6.2%。数学の得点のばらつきは地歴の2.7倍。
数学を課す国立文系である以上、配点が低くても合否への影響は最も大きい。
第01章東大文系で最も得点差が大きい科目は数学
2026年度合格者の開示得点では、数学の標準偏差が13.2点で4科目中最大でした。満点が最も低い科目で、得点差が最も大きくなっています。
標準偏差とは、点数がどれくらいばらついているかを表す数字です。値が大きいほど、上位と下位の差が開きます。
科目 | 配点 | 合格者平均 | 標準偏差 |
|---|---|---|---|
数学 | 80点 | 38.7点 | 13.2点 |
英語 | 120点 | 65.6点 | 12.1点 |
国語 | 120点 | 67.9点 | 8.4点 |
地歴 | 120点 | 82.8点 | 7.4点 |
ここで注目すべきは、80点満点の数学(13.2点)が、120点満点の英語(12.1点)を素の値で上回っていることです。取れる点の幅が40点も狭いのに、実際についた差は数学のほうが大きい。
出典: 東大受験まとめサイト UTaisaku-Web「入試得点開示」(2026年8月23日に参照)
第02章配点をそろえると、数学は地歴の2.7倍ばらつく
標準偏差を配点で割ると、数学16.5%、英語10.1%、国語7.0%、地歴6.2%になります。配点の違いを考慮した比較です。
満点が違う科目の標準偏差をそのまま並べるのは、本当は公平ではありません。80点満点と120点満点では、点数が動ける幅がそもそも違うからです。そこで標準偏差を配点で割り、「満点の何%ぶんばらついたか」に直します。
科目 | 標準偏差 | 配点 | 配点あたり |
|---|---|---|---|
数学 | 13.2点 | 80点 | 16.5% |
英語 | 12.1点 | 120点 | 10.1% |
国語 | 8.4点 | 120点 | 7.0% |
地歴 | 7.4点 | 120点 | 6.2% |
16.5 ÷ 6.2 で2.7倍。数学の得点のばらつきは、地歴の2.7倍です。配点に対する割合で見ると、科目によってこれだけ差があります。
なおこの「配点あたりの標準偏差」は、開示得点そのものではなく、当塾が上の数字から計算した指標です。出典の値と区別してお読みください。
第03章得意なら最も稼げ、苦手なら最も削られる
ばらつきが大きいということは、上振れも下振れも大きいということです。数学は稼げる科目であると同時に、大きな失点差が生じやすい科目でもあります。
地歴は合格者平均82.8点、標準偏差7.4点です。つまりほとんどの合格者が75点から90点の間に固まっています。ここで人より10点多く取るのは相当に難しい。
一方の数学は平均38.7点、標準偏差13.2点。平均の前後に13点ほどのばらつきがあります。この幅がそのまま合否の幅になります。
この得点差が、合否に影響します。地歴で差をつけるより数学で差をつけるほうが現実的で、逆に数学を捨てると他の科目では取り返しにくくなります。
第04章東大以外の国立文系でも同じ傾向
数学を課す国立文系でも、同じ傾向が出やすくなります。数学は他科目より得点差が開きやすい科目です。
理由は科目の性質にあります。国語や地歴は、まったく書けない答案になることが少ない科目です。部分点も入りやすく、下限が高くなります。
数学は違います。方針が立たなければ0点に近づき、立てば完答もありえます。同じ試験時間で、0点から満点までの全域に答案が散らばります。一橋大、京都大、大阪大などでも似た傾向が見られます。
私立文系でも数学受験を選べる大学は増えています。数学で受験できるなら、そちらのほうが競争は緩いというのが指導してきた実感です。ただし競争の状況は大学や方式によって異なります。
第05章では、どうすればいいか
数学を捨てずに伸ばすのが確実です。伸ばし方は2つあり、どちらも才能ではなく手順の問題です。
手を動かして覚える。解説を読んで分かった状態と、白紙から書ける状態は別の能力です。
単元ごとの定石を型として持つ。「この形が来たらこれを出す」の対応表を作ります。
たとえば整数問題なら、方針は3つに整理できます。約数と倍数の関係で攻める、不等式で範囲を絞る、合同式で余りを見る。図形なら「90°が出てきたら内積は0」、数列なら「階差を取る」。
こうした型を持たない人は、初めて見る問題で毎回ゼロから考えることになります。試験時間の中では、それでは間に合いません。
詳しくは、「解説は分かるのに解けない理由」と「文系数学の定石一覧」で説明しています。
第06章よくある質問
数学が苦手です。いまから間に合いますか。
高2なら十分に間に合います。高3や高卒生でも、出題される単元を絞れば戦えます。全範囲をやり直す前提にはしません。過去問と模試から、どの単元が合否に効くかを先に決めます。
文系数学は捨てて、英語と地歴で逃げ切れませんか。
おすすめしません。地歴は標準偏差7.4点で、合格者の得点が近い範囲に集まっています。ここで人より大きく稼ぐのは難しくなります。数学のばらつきぶんを捨てると、その差を埋める手段が乏しくなります。
配点が低い科目に時間を使うのは非効率では。
配点の低さと、合否への影響の大きさは別です。数学は配点が最も低い一方で、配点あたりの得点差は地歴の2.7倍あります。得点差が動きやすいのは数学です。
標準偏差はどこから取った数字ですか。
2026年度の東大文系合格者の開示得点をまとめた UTaisaku-Web のデータです。配点あたりの標準偏差は、その数値を配点で割って当塾で算出しました。
第07章まとめ
東大文系の二次で最も得点差が大きかったのは数学。標準偏差13.2点で4科目中最大。
80点満点の数学が、120点満点の英語(12.1点)を素の値で上回っている。
配点あたりで比べると数学16.5%、地歴6.2%。前述のとおり地歴の2.7倍。
数学を課す国立文系でも同じ傾向。捨てるより伸ばすほうが確実。
東大おうち塾では、文系数学に絞った指導を文系数学の専門指導で行っています。初回60分の体験授業は無料です。いまの答案を見せていただければ、どの単元から手をつけるかをその場でお伝えします。
筆者
野村 理玖
東大おうち塾 代表 / 東京大学 博士課程
公開 2026.08.23
麻布高校卒業、東京大学 博士課程在学。公認会計士試験合格。認知心理学に基づいて自分の勉強のやり方を組み立て直した経験から、東大おうち塾を立ち上げました。