公開 2026.06.11 ・ 7分で読める
東大おうち塾コラム
浪人時代に成績が伸びた理由
〜計画管理と復習の仕組み化〜 浪人で一番きついのは勉強そのものではなく「毎日続けること」。やる気に頼らず、誘惑を断ち、予習・授業・復習のサイクルと計画管理を仕組み化して成績を伸ばした浪人生活の記録です。

E.T(理科二類)
東京大学 理科二類 / 東大おうち塾 講師 / 公開 2026.06.11 / 7分で読める

目次
第01章第1章 浪人生活で一番きつかったのは、勉強そのものではなかった
浪人生活が始まったとき、私は駿台予備校お茶の水校に通いました。浪人と聞くと、「一年間本気で勉強すれば成績は伸びる」と思われることがあります。しかし実際に経験してみると、浪人生活で最も大変なのは勉強そのものではありませんでした。毎日勉強を続けること。これが想像以上に難しかったのです。
私は現役時代、東大模試ではほとんどE判定でした。現役の東大入試でも大きく差をつけられて不合格になっています。そんな状態で浪人生活が始まりました。駿台に入ると、周囲には東大に数点差で落ちたような受験生がたくさんいました。開成や筑駒、灘といった超進学校出身の人も珍しくありません。現役時代から東大レベルの問題を解き込み、模試でも上位を取っていたような人たちです。一方の私は、東大クラスの中でも決して上位ではありませんでした。模試の順位も下位でしたし、授業を受けても周りとの差を感じることがありました。

E.T 現役時の共通テスト成績(724点)
▲ 現役時の共通テスト(724点)。
浪人生活の最初の数か月は、正直かなり苦しかったです。勉強しているのに結果が出ない。周りはどんどん問題を解いているように見える。自分だけ置いていかれている気がする。本当に東大に受かるのだろうか。そんなことを何度も考えました。受験生はよく「やる気が出ない」と言いますが、浪人生の場合はそれが一年間続きます。やる気がある日もあれば、全くやる気が出ない日もあります。それでも勉強しなければなりません。
また、浪人生活で特に大切だったのが、自分を信じ続けることでした。浪人すると嫌でも周りが見えます。模試で上位を取る人。余裕そうに勉強している人。いつも成績優秀者に名前が載る人。そういう人たちを見るたびに焦りを感じました。さらに辛かったのは、高校の友人たちが大学生活を楽しんでいることでした。春には新歓。夏には旅行。秋には学園祭。冬にはサークルやアルバイト。SNSを開けば楽しそうな写真がたくさん流れてきます。自分は朝から晩まで勉強しているのに、友達は大学生活を満喫している。正直、羨ましいと思わなかったと言えば嘘になります。
しかし途中から私は考え方を変えました。人生全体で見れば、浪人はたった一年です。友人たちは一年早く大学へ進んだ。自分は一年遅れる。ただそれだけです。この一年だけは我慢しよう。この一年だけは勉強に集中しよう。この一年だけは東大合格だけを考えよう。そう思うようになりました。浪人生活で一番危険なのは途中で諦めることです。成績が伸びない時期は必ずあります。模試でE判定を取ることもあります。努力しているのに結果が出ないこともあります。それでも、自分だけは自分を信じ続けなければなりません。
実際、私は浪人中にA判定を一度も取れませんでした。B判定も数回程度で、多くはC判定やD判定でした。それでも最後まで東大を目指しました。受かる保証があったからではありません。諦めたらそこで終わると思っていたからです。だから受験生の皆さんにも伝えたいことがあります。模試の判定で自分の可能性を決めないでください。模試は未来を予言するものではありません。今の自分の位置を教えてくれるだけです。そこから何を改善するかの方がはるかに重要です。
第02章第2章 やる気に頼らず、勉強できる環境を作る
私は途中から気付きました。受験勉強で大切なのはモチベーションではなく仕組みだということです。やる気があるから勉強するのではありません。やる気がなくても勉強できる環境を作ることが重要なのです。そのためにまず取り組んだのが、誘惑を徹底的に排除することでした。
私はスマートフォンを家に置いて予備校へ通っていました。当時は連絡手段としてキッズ携帯のような最低限の機能しかない携帯を使っていました。今思うと少し極端かもしれません。しかし、それくらいしないと自分はスマホを触ってしまうと思っていました。受験生時代の私は、自分の意志の強さを信用していませんでした。「少しだけSNSを見よう」「少しだけYouTubeを見よう」「少しだけニュースを見よう」。その少しだけが積み重なり、一日が終わることを知っていました。だから私は我慢するのではなく、そもそも誘惑に触れない環境を作りました。受験勉強では意志力より環境の方が大切だと思っています。
また、集中できる場所も一つに固定しませんでした。朝は予備校の自習室。昼は空いている教室。夕方は図書館。夜は自宅。集中できなくなったら場所を変える。とにかく勉強を継続することを優先していました。よく「集中力が続きません」という相談を受けますが、私は集中力に頼っていませんでした。そもそも人間は何時間も集中し続けられるものではありません。だから集中できなくなったら場所を変える。歩く。飲み物を買う。環境を変える。それだけで驚くほど頭が切り替わることがあります。
また、浪人生活でかなり役立った考え方があります。それは「一時間だけやろう」という考え方です。受験生はよく「今日は十二時間勉強しよう」と考えます。しかし、朝起きた瞬間から十二時間勉強することを想像すると気が重くなります。だから私は、「とりあえず一時間だけやろう」と考えるようにしていました。一時間やったら帰ってもいい。一時間だけ頑張ろう。そう思って予備校へ行く。すると不思議なことに、一時間経った頃にはもう少しやろうと思えることが多いのです。さらに一時間。さらに一時間。そうして気付けば一日が終わっていました。やる気があるから勉強するのではありません。勉強を始めるからやる気が出るのです。これは浪人生活で学んだ大きな発見でした。
そして、もう一つ大切だったのが生活習慣です。私は浪人中、早寝早起きをかなり意識していました。受験勉強というと参考書や勉強法ばかり注目されますが、生活習慣はそれ以上に重要だと思っています。朝早く起きられた日は、その時点で少し気分が良くなります。朝から勉強できた。今日もスタートできた。そんな小さな達成感が一日のモチベーションにつながります。逆に昼近くまで寝てしまった日は、その瞬間に自己嫌悪が始まります。まだ何もしていないのに負けた気分になるのです。もちろん毎日完璧ではありませんでした。寝坊した日もあります。集中できない日もあります。それでもできる限り同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを意識していました。受験は一年続く長期戦です。だからこそ、一日だけ頑張ることよりも毎日同じリズムで続けることの方が重要です。
第03章第3章 成績を伸ばしたのは、特別な勉強法ではなく仕組みだった
勉強内容についても特別なことはしていません。私が意識していたのは、予習・授業・復習のサイクルを崩さないことでした。授業を受ける前に予習する。授業中に理解する。授業後に復習する。さらに数日後にもう一度解き直す。この繰り返しです。特に数学と理科では、授業で扱った問題を何も見ずに再現できる状態まで持っていくことを意識していました。理解したつもりと、本当に解ける状態には大きな差があります。その差を埋める作業が復習でした。
また、私は計画管理にもかなり力を入れていました。勉強時間だけを増やしても成績は伸びません。今の自分に何が足りないのか。どの科目を優先するべきなのか。どの教材をどの順番で進めるべきなのか。模試で見つかった課題は何なのか。そうしたことを常に考えていました。
こうした仕組みを一年間続けた結果、現役のときには届かなかった点数まで成績を伸ばすことができました。共通テストも、現役の724点から794点まで上げることができました。劇的な才能の差ではなく、毎日の積み重ねが数字になって表れたのだと思います。

E.T 浪人時の共通テスト成績(794点)
▲ 浪人時の共通テスト(794点)。現役から70点アップ。特別な才能ではなく、続けられる仕組みが点数に変わった。
今振り返ると、浪人で成績が伸びた理由は特別な才能ではありません。自分を信じ続けたこと。周りと比較しすぎなかったこと。誘惑を遠ざけたこと。早寝早起きを続けたこと。そして勉強を継続できる仕組みを作ったこと。その積み重ねだったと思います。
東大おうち塾でも、生徒によく伝えていることがあります。受験は気合いで乗り切るものではありません。やる気に頼らず、毎日少しずつ前に進める仕組みを作った人が最後に勝ちます。私自身、浪人生活で学んだ最大のことは勉強法ではありません。「継続できる仕組みを作ること」でした。そしてその積み重ねが、最終的に東大合格につながったのだと思っています。

筆者
E.T(理科二類)
東京大学 理科二類 / 東大おうち塾 講師
公開 2026.06.11
相模原高校出身。中高一貫校(栄光学園)から野球を優先して公立中学・相模原高校へ進学し、一浪を経て東京大学理科二類に合格。東大おうち塾の講師として、学習計画づくりと進路選択のサポートを行っている。